2005-06-26
Being John Malkovich
【マルコビッチの穴】
マルコビッチの穴をついに観た。ずっと気にはなっていた、というのは『7と2/1階にある小さいドアをくぐれば誰でも15分間だけ俳優のジョンマルコビッチになれる』というこのストーリーの奇抜さにあるでしょう。この穴を発見したシュワルツをはじめ、この穴を利用したビジネスまで始まったものだから、皆この不思議な穴の虜になってしまう。そうしてついには、ジョンマルコビッチ本人が自分の頭の中へと入ることになるのだが、このシーンが絶頂にドキドキした。穴に入った者は15分間、ジョンマルコビッチを体験し15分が終わると構想く道路の脇にぽんと放り出されるのだが、この『どこかから』戻ってくるまでのこの15分の間身体は一体どこへいっているのだろう??意識は、ジョンマルコビッチの頭の中にあるのだが、その肉体は……???そのあたりは詳しく説明されていないので、15分過ぎたらどこかから舞い降りてくるものなのだ、と思うしかなかったが、もしその肉体が異次元の世界にワープしてしまうのならジョンマルコビッチがジョンマルコビッチに入った時にはどういう現象が起こるのだろう、と興味津々だった。自分というフィルターを通して自分を見るのだ。考えるだけで頭がこんがらがってきそうだけど、この映画の中での正解は、ジョンマルコビッチが自分の頭の中に入るとジョンマルコビッチだらけなのだ……!!!一体どうなるのだろう、自分の頭に入ることによって肉体そのものが消えてしまうことも予想していたのだが、いざふたを空けてみると、ジョンマルコビッチだらけて……!!!!!!これには笑ってしまった。
しかしまぁ、誰か自分とは違う人になりたい、という誰もが多からず少なからず持ったことがあるだろうと思われる『変身願望』に酔いしれ、アディクトしていく人の心の弱さみたいなものが見えた映画だった。しかし、気の毒な運命にあるとしかいえないのがジョンマルコビッチ。ようやく自分の身体と心を取り戻せたかと思ったのも束の間、彼は『器』としての運命を歩まざるを得ないのだ。うーん、気の毒。ラストは、変身願望にとり憑かれた人形操り師のなれの果てが、屈託のないこどもの笑顔に封じ込められてしまったさまが至極哀れだった。
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